一応、改造していく上でのメニューには入っていたのですが、エンジンがノーマルのうちは、高目にはなったとしても、振り切れそうな勢いで水温が上がる事はないだろうと思っていました。しかし、その考えは、完全に甘かったようです。
調度、「RyOX」でも、R1-Z用の大容量ラジエーターのキット化を考えていた所なので、そのテストベットとして、筆者のR1-Zを使ってもらう事にしました。
R1-Zに流用可能な、大容量ラジエーターと言うと、89NSRやRGVγのラジエーターが容量も大きくラウンドタイプなので、横幅もそれほど広くないので、一般に使われているそうです。
しかし、それでも、カウルを装備していないネイキッドのR1-Zに付けるには、まだ少し幅が大きいし、下手な付け方をすると、ハンドルの切れ角が無くなったりしてしまうと言った事もあるようです。
また、ラウンドタイプのラジエーターは、普通の平たいタイプに比べ、前にせり出している分、実際の幅よりも広く見えてしまうし、幅が広すぎると前へのせり出しもその分大きくなってしまうので、横から見た時に、あまり格好良くないと言った事もあるようです。
そこで、さわお号に付いているRC-SUGO製のTZR-F3用のラジエーターも検討されたのですが、性能的にも見た目的にも十分満足行くものではあるのですが、既に発売中止になってしまっているので、今後、オーダーが入ってもそれに対応できないと言う事で、RS125用のラジエーターが選ばれました。
単気筒のレーサー用と言う事で、高さはそこそこあるものの、幅も狭く押さえられていて、2層式のラウンドタイプで容量も十分です。レース活動をしているRyOXならば入手性も問題無しとR1-Zに使うには十分なスペックです。
ただし、STDの上から入って下に抜けるタンクが上下にある形状と違って、RS125のラジエーターは、タンクがサイドにあるタイプの為に、ホースの取り出し口の位置が全く違う上、幅、高さともに全然違うラジエーターを使うわけですから、作業は、本当に大変でした。
# と、言っても、私がやっているわけじゃないんですけどね(^^;
取り付けは、何度も現車あわせをしながら、ステーの型紙を起こし、アルミ板から切り出して取り付けステーを作成したり、アルミの棒からホースの取り出し口を作ったりと、素人の手におえる作業でないのは確かです。
一部、フレームのマウントも加工する必要もある為に、ボルトオンと言うわけには行かないのですが、その他は、ほぼボルトオンで取り付けできるようなラジエーターのステーができ違和感も無く仕上がりました。
文章にしてしまえば簡単ですが、そうする為には、綿密な寸法取りと、きちんとした加工技術がなければ、ここまで、確実な取り付けは不可能と言うのは、いままでと一緒です。
また、技術だけあっても、「まぁ、こんなもんだろう」と簡単に妥協せずに、きっちりと納得が行くまで何度でもやり直しなければ、ここまでは出来ないと言うのも、作業をずっと見ていて思いました。
それを、「だって、ふつうは、そうするんでしょ」と言って嫌な顔ひとつせずに、やってくれるさわおさんには、いつもの事ながら頭の下がる思いです。
当初、たまに見かける、「ラジエーターが走っている」みたいな、大きすぎるラジエーターにガムテープを張って入っているような風になったりしたらいやだなぁ...と思っていたのですが、それほど気にもなりません。
アルミの地のままだとSTDの黒と比べて目に付きやすくなるだろうと思って、もし、あまり目立つようなら黒に塗ろうと思っていたのですが、その心配も必要なかったようです。
肝心の冷却性能は、文句無しです。水量が増えた事で暖気に時間が掛かると言った事も、サーモスタットが生きているので、今までとかわりありません。
走り始めて、少しすると、水温計の針はSTDの時と同じように、適正範囲に入っていきます。
取り付けの終わった帰り道、時間も朝3時過ぎと言う事で、道が思いっきり空いていたのを良い事に、水温に注意しながら、前日に組んでおいたハイスロの効果を楽しみながら、かなりハイペースで走ってきましたが、深夜で結構涼しかったのと走行風がちゃんと当たる状態だったので、水温計の針は、7時の位置から全く動こうとしませんでした。
STDの時だと、ちょっとハイペースで走ると、信号待ちのたびに少しずつ水温が上がっていくのと比べたら、雲泥の差です。
しかし、本当驚くのは、朝の通勤時でした。
STDの時は、ちょっとした渋滞にはまるだけで、水温計の針は真下の6時辺りから、5時の辺りまで入ってしまい。暑い日だとレッドゾーンまで、針2,3本分残した辺りまで、すぐに行ってしまっていたのが、このラジエーターだと、渋滞にはまっていても、真ん中より先に行こうとしなくなりました。
渋滞中のように、低回転しか使わない状態なら、走行風を当てなくても、水温を維持できるくらい冷却に余裕が生まれたのでしょう。
今までは、家に着くちょっと前から、少しスピードを落として、エンジンを十分に冷やすようにしたりと、かなり気を遣っていましたが、そんな気遣いは不要なくらいです。
そして、取り付けが終わったその日の昼休み、さらに驚く事がありました。
ロクにエア抜きをしないで、走っていたので、水量を確認する為にラジエーターキャップを開けると、リザーバータンクの1/3くらいのクーラントがラジエーターの中に吸い込まれていきました。つまり、その分を差し引いて、上記のインプレのような結果になったと言う事です。
しばらくしたら、このページも書き直しに迫られるかもれませんね。
また、このラジエーター自体に、水温センサーの取り付け用の穴が空いているので、近々、デジタル水温計を取り付けてみようと思っています。
きれいに付ける為には、車体側にも、それなりに加工が必要と言う事で、キット化と言うのは、見送られましたが、車体をお店の方に持ち込み可能であれば、これと同じ仕様での作成は、可能だそうです。