91年式以降のR1-Z(俗に言う3型)は馬力規制で40PSに押さえられていますが、パワーだけじゃなく、規制前のモデルと比べると、高回転域でのパンチが無くなってしまっています。
主な原因は、わざと進角を押さえたイグナイターでしょう。
イグナイターに関しては、「5,6速で全開じゃないと、それほど違いはないよ」と言われましたが、やっぱり、なんだかんだ言ってそんなシュチュエーションが無いとは言いきれません。
と言うか、結構あると思います。
それに、STDのイグナイターは馬力が押さえられていると言うのもありますが、9000rpmからの頭打ち感がかなり強烈で、乗っていてあまり楽しくありませし、このままでは、せっかくのパラツインの「パーーーーン」と吹けあがるあの感じが楽しめません。
これじゃ、何の為にパラツインを積んだR1-Zを買ったのか分かりません。
と言うことで、RyOX-SPLイグナイターをいれることにしました。このイグナイターは、4000〜6000rpmでのトルク感の向上と、9000rpmを越えた処での頭打ち感を改善してくれるという澤尾さんお勧めのイグナイターです。
いままで、吸気系のチューニングとしては、エアクリーナーボックスの入り口に付けられた、通称「ブタの鼻」を取っりさって、エアクリーナーのスポンジは、中性洗剤で良く洗ったものをしっかりと乾かしオイルを付けず、セットしていました。
これは、これで結構面白い仕様でした。アクセルの開け閉めにかなり敏感になりすぎる感じがあったので、ニードルクリップを標準の3段目から、4段目に変更してあげるだけで、かなりパワフルになりました。
しかし、キャブがSTDの26φのTM26のままでは、この状態で、すでに容量的にギリギリになってしまっていて、これ以上パワーを出すのは難しい状態になってしまっているようです。
そこで、もう少し大口径のキャブに換えることで、吸気効率を高めてあげようというのが今回のねらいです。使うキャブはもちろん、初期型TZRの1KTで使われていた2mm口径の大きなキャブで28φのTM28です。
同じエンジンを積んだ1KTと比べて、高回転まで廻していった時に詰まった感じがするのも、この口径の2mmの違いの性なのかもしれません。
R1-Zオーナーのなかでは、TM28に換える事で、高回転の伸びが良くなると言う事で、このキャブへの交換は、定番メニューとなっているくらいです。
また定番となっている理由は、R1-Zのキャブと1KTのキャブの違いが、殆ど無く同じボディを使っていながら出口の口径が2mm拡大されていることと、冷却水を引き込む部分が無いくらいで、簡単に取り付けできます。
おまけに、1KT用と言う事で、解体屋等で簡単に見つかるらしいと言うのを聞いて、気の早い筆者は、バイク購入前にすでに入手してしまっていました。
これは、RZ-MLの大浦さんが解体屋に行くと言うので、その時一緒に探してもらい入手できました。おまけに値段が聞いてびっくりの超破格値の2000円。多謝!!
今回手に入れたTM28は、外観はそれなりにボロっちくなってはいたものの中の方は、思いのほかきれいでした。但し長期間放置されていたらしく、あちこち固着してしまっていたのと、せっかく交換するのだから、完調な状態で使いたかったので、「RyOX」で、オーバーホールしてもらい、取り付けてもらいました。
キャブクリーナーにドブ漬けして、こびりついた汚れを落とし、シール、パッキン、ジェットを新品にして組み直してもらったお陰で、動きも悪くないし、中はさらにきれいになりました。
外の方はと言うと、あいかわらず....
殆ど新品状態のもとから付いていたTM26と比べるのもかわいそうとは思いますが、かなり黒ずんでいて、キャブだけなんか浮いてしまうくらいです。
そのうち、暇を見付けて、ネバダールで磨いてみようと思います。そうすれば、今よりは少しはマシになってくれる事でしょう。
バイクを預けてから2週間。キャブとイグナイターの交換だけなら、こんなには時間は掛からないのですが、今回預けた主な目的は、アップハン化で、その為の準備をしていたら、こんなに掛かってしまったのでした。
仕事が終わってからそのまま「RyOX」に直行。既にキャブの取り付けは終わっていて、イグナイターの取り付けを待つだけでした。イグナイターは、一部そのままでは配線が届かないので、延長用のカプラーを作ってもらい取り付け。そのままボルトオンで付きます。
取り付けが終わった所で、帰宅しながらの試乗。
本当なら、ひとつひとつやっていかないと、どれを換えたのが原因で変わったのか分からないので、ひとつずつ交換していった方が良いのでしょうが、ついでと言う事で、一緒やってしまったので、ふたつまとめた結果のインプレッションになっています。
まず、高回転の伸びが全然違います。
今までは、9000rpmを過ぎた辺りから、頭打ちになってしまい、11000rpmまで廻る事は廻っても、パンチもなくただ廻っていると言うだけだったのが、10500rpm位まで、パワー感を伴って廻ってくれるようになりました。
最後の500rpmも、今までに比べたら、全然、タレた感じでなく使える状態です。
今までは、3速から上は10000rpmでシフトアップしていましたが、これなら、レッドゾーンギリギリまで、使ってシフトアップしていった方が、速そうです。
通勤快速を目指す私の場合は、渋滞やゆっくりとした流れの中を走る事も多いので、キャブを、2mmとは言えキャブの口径が大きくするので、低速トルクが無くなってしまうのではないかとちょっと心配もしていたのですが、その心配は無用だった様です。
全く変わらないかと言われれば、若干、低下したような感じもしますが、普通に乗っている分には、殆ど感じられません。
発進時も、いままで通りに、3000rpmでクラッチミートしても、スルスルと走り出してくれます。逆に4000rpmを過ぎた辺りからのトルク感は、前よりもあるような感じで、その上、4500〜4750rpm辺りで感じられていた、トルクの谷も感じられなくなり、スムーズに吹けあがって言ってくれます。
このときは、1KTに付いていた時そのままのセッティングなので、多少濃い目なのも影響しているかも知れません。
アクセルのツキに関しては、全体を通して、3XCのノーマル時の方が良かったような気もします。6000rpm以下で全開にしても、すぐには加速体勢には移らず、一瞬、間があってそれから加速していく感じです。
ただ、STDの状態では、アクセルを開けた瞬間に加速体勢に移るもののそれが長続きしない感じがしていましたが、今の状態だと、一瞬、モワッとした間はあるもののその後の伸びが良いのです。
どっちも捨て難いものはありますが、どちらかと言うと今の状態の方が、ガンガン廻していけるので、乗っていて楽しいです。
よく言えば唐突さが消えたとも言えなくも無いですが、この一瞬のモワッとした間が無くなれば、もっと面白く速くなるような気がします。
そこで、ニードルクリップの段数調整をしてみました。2段目に入っていたクリップを外し、少しガスを絞る為に1段目に変更して組み直してみました。
これが、ぴったりとハマリ、他の良い部分は、そのままに、いままでの開け始めのモワッとした感じが無くなり、アクセルを開けた瞬間にパッと加速体勢にはいるようになりました。
また6000rpmを超えてからの加速感は段違いですし、アクセル開度が大きい時の加速感は、いままでとはべつものです。
実際にスピードもそれなりに出ているようですし、ますます、チャンバーを入れるのが楽しみになってきました。
澤尾さん直々にセッティングの出し方を教えてもらったので、少しは自分でもセッティング出しをしてみようと思っています。
4000rpmからのトルク感と最後の伸びは、SPLイグナイター。6000rpmからの加速感は1KT用のキャブのお陰かな??