それは、突然訪れました。
恒例の親父の仲間のツーリングクラブ「フリーロード」の2000年最初の定例ツーリングに筆者は、この冬始まって以来の寒さに負けないようにと、重ね着に重ね着を重ねて完全防寒で望みました。
空気もパリッと乾燥していて、やけに吹け上がりの軽いR1-Zにスプロケを交換してからずっとチャンスがなくて挑戦できていなかったメーター読み200km/hへの期待を抱きながら、集合場所の浦安を出発しました。
国道357を抜け、東関東自動車道に入ったところの料金所で一旦休憩。一服したあと次の休憩場所である佐原PAに向けて出発しました。いつもの通り、ゆっくり走るアメリカングループを尻目に快調なペースで飛ばすスーパースポーツグループは、ドンドン先に言ってしまいます。
料金所を過ぎたばかりで、車の流れが一定しない区間を6速6000rpmとちょっと大人し目に抑えて走っていたら、先頭を走っていたZZ-R1100は視界の先のほうで、米粒よりも小さくなっていました。とりあえず、道が空くまで大人しくしていようとしばらくは、流れ+αで流したあと最後の障害物(!?)のトラックの集団を追い越し車線からパスすると一気に前方が開けました。そこで一気に全開!!
R1-Zは「パーーン」と乾いた排気音を奏でながら、いつにも増してスムーズに加速をしていきます。そのまま200km/hを目指し、タンクに伏せ、タコメータを視界の端に捕らえながら、加速を続けていきます。周りの景色が熔けて流れていくような感覚の中、前方の車の位置を確認しながら、まばらに走っている乗用車をパス。まだR1-Zは加速を続けています。
そして、タコメーターの針が9000rpmを越えたその瞬間、ふっとエンジンから力がなくなるのを感じ、次に激しくリアタイヤがロックしました...流れるリアが収束すると同時にクラッチを切ってフルブレーキング。路肩に止めてプラグを外してみると、電極はすでに熔けてなくなっていました...
筆者はそのまま、ツーリングをリタイヤ...さわおさんに電話をいれて、迎えに来てもらうことにしました。あとは、自分ではどうにもならないので、さわおさんにお任せすることになりました。
その後、部品がある程度揃ったところで、ばらし始めて分かった今回の焼きつきの原因は、筆者の整備不良...エアクリーナーのジョイントをキチンと繋いでいなかったため、通常より混合気が薄くなっていた為の焼きつきでした。
ピストンの状態は見るも無残なものでした。ピストンヘッドはしっかりと熔けていて穴があく寸前の状態になっていました。
ピストンスカートも欠けてしまっていたのでランクケースを開ける必要があった為、ついでに一次圧縮を上げる為の加工とシリンダーとの合い面の調整、バリ取り等と一緒に、ダメージのあったシリンダーを再使用する為に0.5mmボアを広げ、ワイセコの鍛造ピストンを組んでもらいました。
これまでの予定では、10000kmを超えた辺りでやろうと思っていた腰下のオーバーホール時にいっしょにやろうと思っていたチューニングだったのが、ひょんな事で急に前倒しになってしまいました。
シリンダーの方は、予算の都合で今回はボアアウト時のバリ取り程度ですませました。
そして、焼きつきから一ヶ月後、R1-Zは無事復活を果たしました。
久々に乗るR1-Zは低速トルクも増し、振動も減って格段に乗り易くなっていました。ナラシ中で5500rpmまでしか回していないのに、十分に車の流れについていけます。
がさつきもなく、ホントにスムーズなエンジンに生まれ変わったのに大満足していました。
2月26日。前々から予定していたR1Z-MLのメンバー(といっても筆者を含めて3人だけ)でのツーリングに行ってきました。本来はもっと早く直るはずだったので、完全にナラシが終わってから行くはずだったのですが、ナラシ走行をしている時間も取れず仕方無しに通勤で80kmほど走っただけのナラシもそこそこの状態でツーリングに行くことになりました...
今回は寒いのとナラシ中ということを考慮して、途中にフェリーでの移動をはさんだのんびりツーリングとなる予定でした。第三京浜から横横、フェリーで金谷に渡り、そこからマザー牧場へ、マザー牧場でジンギスカンを昼食に食べて、あとは館山道で帰るのみ...
前半はとにかくゆっくり走ることに専念しました。
スムーズで低速トルクもあるので、ゆっくり走るのは全然苦になりませんが、やっぱり早く全開にしたいという衝動に駆られます。それをぐっと我慢して館山道に入ってからも、しばらく6000rpmキープで走り、ナラシ後の走行距離が200kmを超えたところで、回転を7000rpmまで上げみました。そのまま、回転をキープしてるとふっとエンジンが力がなくなりました。予想外の出来事に?マークで頭の中を埋め尽くされている筆者をよそに、またもやリアタイヤがロック。
慌てて路肩に寄せてプラグをチェックするとちょっと濃い目くらいの焼け具合、プラグを元に戻し、何度かキックすると、カチャカチャと異音を出しながらもなんとかエンジンが掛かりました。しかし水温計の針がレッドゾーンに入りそうなくらいまで水温が上がっています。
RyOXに電話を入れさわおさんに連絡。自走できそうなので水温系の注意しながらなんとか篠崎のお店までたどり着き、またR1-Zは入院...またしばらく乗れなくなってしまいました。
次にR1-Zの乗れたのは3月15日でした。ウェブ制作の打ち合わせのついでに、とりあえず乗れる様にと仮のシリンダーとピストンを組んでおいて貰ったR1-Zに乗って帰宅。2度も立て続けだっただけに、今回は常に水温計の針に目をやりながら、かなり慎重に乗っています。スポーツチューニングST2仕様と言う事で、低速トルクはちょっと細くなったみたいですが、その分、上まで廻すとパワー感がありそうな気がします。